植物の名前

植物には2つ名前があります。1つはみなさんが読んでいる一般名(和名とも言われます)。もう一つは学名。どちらをよく使うかというと、一般名の方だと思います。

ヨーロッパ、とくにイギリスでは植物ラベルに一般名と一緒に学名が表記されています。誰でもが理解できる一般名と一緒に、その植物の出自を表す学名がきちんとつけられています。オーストラリアやアメリカのナーセリーに行った時も、学名はきちんとラベルにつけられていました。

日本の場合、学名が記載されていないラベルが多く、植物の名前は一般名によって知ることが多くなります。

両筑植物センターでも生産している「Eucalyptus polyanthemos」が、ここ数年日本では「ユーカリ ポポラス」という名前で流通し、とても不思議に思っていました。オーストラリアから導入した時に、一般名が違っていたからです。

Eucalyptus polyanthemos=ユーカリ ポポラス という名前はどこからきたのだろう?そもそもオーストラリアでの一般名はそんな名前ではなかったと思うが、、、、。

疑問を感じたら、オーストラリアの専門家に聞いてみるのが一番と思い、シドニー王立植物園に質問のメールを送りました。

日本ではEucalyptus polyanthemos=ユーカリ ポポラスと呼ばれているが、オーストラリアではどうでしょう?と聞いて見ました。その返信は

「オーストラリアでも一般名が数種類の樹木についていることがある。例えばユーカリ シルバーダラーガムは2種類のユーカリに対して使われており、

Eucalyptus polyanthemos

Eucalyptus cinerea

がシルバーダラーとオーストラリアでは呼ばれている。ポポラスという名前では呼ばれていない。別の植物でEucalyptus populnea というものはあるが葉はシルバーではなく緑色です。」

という返事でした。オーストラリアで認識されていない一般名が日本ではなぜか広がり、本来呼ばれたシルバーダラーという一般名が、日本ではないことになっているようです。オーストラリアでも一般名が2つの植物に付けられていたりして、混乱を招くことがあるので学名を基準にして植物を判断するということでした。

一般名なんて好きに呼べばいいじゃないか、という考え方もあるでしょうが、日本に入ってくる時にオーストラリアで使われていた一般名を勝手に変えてまで生産販売し続けることは、生産者としては植物に対する敬意がないのでは?と思います。

ちなみにEucalyptus polyanthemosの、オーストラリアでのもう一つの一般名は「Red box」と呼ばれています。日本でなぜポポラスという一般名がつけられたのか、謎です、、、。